機動戦艦ナデシコ
「ルリルリは『お魚』の夢をみるか?」その1

「あなたの一番になりたい」
「機動戦艦ナデシコ」第19話(明日の『艦長』は君だ!)挿入歌
作詞:有森聡美 / 作曲:三留研介 / 編曲:添田啓二 / 歌:南央美(ホシノ・ルリ)>br> MIDIデータ打ち込み:ねるげ / MIDIデータ名:NAD_RRGM.MID
※この MIDIデータは
ねるげさんから許可を得て使用しています。


私の名前は「ホシノ・ルリ」。11歳。少女です。

わけあって「機動戦艦ナデシコ」のオペレーターをやっています。

ところで、いま私はどんどん落ちていってます。

…といっても、ガケから足を踏み外したわけでも、ましてやビルの屋上から飛び降りたわけでもありません。

私は水の中を落ちているのです。沈んでいると言った方が正しいかもしれはせんね。

水の中ですが、私は息ができます。なぜと言われても困りますが…。

「オモイカネ? 水中で道具もなしに息ができる理由を推測。」

現実−100%不可能

 夢−100%可能

たいへんよくできました。

なるほど、これは夢だったのですね。それなら説明がつきます。

「こんな状況でナデシコのメインコンピュータである「オモイカネ」にアクセスするなんて…、夢とはいえ私もバカよね。」

話を戻しましょう。

上の方を見ると、水面に近いところできれいなお魚がたくさん、楽しそうに泳いでいます。

「あ…、あのみんなから追いかけられている黄色のお魚、アキトさんににてる。」

下の方は真っ暗な深海。私はその暗黒の世界へ向かって落ちているのです。

お魚の姿がどんどん小さくなってゆきます。

みず、ミズ、水…。

全てがいつわりだった幼い頃の思い出。

そんな私にとってたった一つの真実が「水の音」。

水は私の自我の象徴…。

深い水の底で、私もその一部になるのでしょうか。

体がしだいに透明になっていきます。

意識もうすれかけてきました。これが夢だとしたら、きっとレム睡眠からノンレム睡眠に移りつつあるのでしょう。

水の中のルリルリ「私もあのお魚たちと一緒に泳ぎたかったな…。」

「思い出なんて、これからいっぱいつくればいいじゃないか!」

アキトさん…。

「ほぉら、ルリちゃんもみんなと一緒にたのしもぅよ!」

艦長…。

「ルリさん!」

「ルリちゃん!」

「ルリ君!」

「るりるり!」

みんな…。

いつの間にか、私の体をあのお魚たちが上に押し上げようとしていました。明るい水面がどんどん近づいてきます。あ、近づいてるのは私の方か…。

私は水面から顔を出しました。青い空、太陽の光がまぶしい世界です。

空には大きな白い船。私の帰るべき場所、待っていてくれる人々のいる所、それは…。

「ナデシコ…。」

私は目を覚ましました。


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