機動戦艦ナデシコ 「ルリルリは『お魚』の夢をみるか?」その2
「あなたの一番になりたい」
「アキトぉ、アキトぉ、どこ行っちゃったの、アキトぉ!」 「ううー、ユリカぁ。」 「ユリカさん! あなた艦長なんだから、もっと自覚をもちなさい!!」 「あの艦長じゃむりよん。」 めずらしく寝坊した私が少し遅れてブリッジへ出勤すると、そこではいつもと変わらない光景がくりひろげられていました。ホントこの人たちって…。 「おはよう、ルリちゃん、今きたとこ?」 後ろから声をかけられ、私は胸がトクンとなるのが感じられました。言っときますが、べつに心臓がわるいわけじゃありません。 「おはようございます、アキトさん。アキトさんは朝食のしたくで遅くなったんですね?」 「そうなんだ。でも艦内の半数が朝食をぬいてるみたいで…。コックの俺としては考えちゃうよなー。」 テンカワ・アキトさん。艦載人型兵器エステバリスのパイロットで、この艦のコックでもあるという変わった経歴の人。私にとって………ま、いいか。 「みなさん、おはようございます。おくれてごめんなさい。」 「あっ、ルリちゃん、おはよー。あぁー、アキトぉ! いったいどこにいたのぉ、ユリカさがしてたんだからぁ。」 「俺が今朝の朝食当番だって事を知らないって事は…。ユリカ、おまえまた朝飯ぬいたろ!」 「説明しよう! 朝食をぬくと健康にわるい! しかも、美容にも悪影響がある! 以上説明おわり!」 「だって、起きたばっかで食べたくないんだもん。それよりアキトってばぁ!」 「艦長、あんまりアキトさんにベタベタしないで下さい! 艦長がその気なら、あたしだってまたアキトさんと…。」 「………。」 「あー、リョーコやいてる?」 「おもちが焼けて、やきもち?」 「ばっきゃろー、やいてなんかねーよ!」 「やれやれ、困ったお嬢さん方だ。」 「戦いの中、燃え上がる恋愛ドラマ。うぅー、ゲキガンガー的に燃えるシュチュエーションだ!」
「山田は仮の名だ。俺の名はダイゴウジ・ガイ、魂の名前だ!」 お笑い番組みたいでみてて面白いけど…そろそろ仕事しよ。 「おはよっ、るりるり。」 「おはようございます、ミナトさん。」 「あれ、るりるり笑ってる?」 「いえ、べつに…。」 その時、私は夢の中にでてきたお魚たちとみんなを重ね合わせていました。 「アキトぉ、アキトぉ、アキトぉ!」 「わー、くっつくなよユリカ!」 まだやってる。このナデシコの人たちってホント…。 「バカばっか…。」
おわり
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